山下循環器科内科ニュースNo.132 2011年3月1日発行 (隔月発行)


 山下循環器科内科ニュースNo.129   201091日発行 (隔月発行)

◎心臓の音・

◎新薬がぞくぞく登場

この春、新薬がいくつか登場します。まず認知症の薬ですが、今の商品名アリセプトと作用機序の違うメマンチン(商品名メマリー)という薬が出ます。単独でも効果のある薬ですが、アリセプトと併用できるのも強みです。また、アリセプトと同様の作用の薬も出ます。ガランタミン(商品名レミニール)です。アリセプトより効果がやや強いと期待されています。

次に、抗凝固剤である商品名ワーファリンと同様の作用があり、しかも副作用が少なく、納豆やクロレラを避けなくてよいダビガトラン(商品名プラザキサ)です。ワーファリンのように内服時のコントロールが煩わしくないのが特長です。

医薬品の世界では、このように次々に新しい薬が開発されています。現在、不治と思われている病気でも、新薬の開発により、少しずつ克服されています。認知症の薬もさらに発展することと思われ、医療関係者や患者さんの期待には大きいものがあります。

◎体内時計について

『百花の魁』といわれる桃の花が次々と咲き始め、春の訪れを予感させる季節になりました。春は心身の不調を訴える人が増える時期ですので、体調管理が重要になってきます。今回は、体調管理をする上でご参考にしていただくため、人の体のリズム=体内時計についてお話したいと思います。

 体内時計とは、時間になるとおなかが空き、眠くなる、朝になると目が覚めるという人間の本来持っている生活のリズムをコントロールしているものです。

体内時計の周期は約25時間といわれており、季節によって昼と夜の長さの変化に適応していくために体内時計は1時間のズレ(余裕)を持っているものと考えられています。そして、朝の日の光で124時間の生活に調節されます。

 体のリズムが崩れた状態が続くと、高血圧や心臓病、糖尿病などの危険性が高まり、うつだけでなく、記憶力の低下などが起こります。高齢者の場合は、昼間の活動量が減り、生活リズムにメリハリがなくなることから、体内時計のリズムにもメリハリがなくなってきます。その結果、体調不良だけでなく認知症の恐れにもつながることが指摘されています。
体内時計を正常に保つには?
 
朝、太陽の光を浴びる。(朝日で体内時計をリセット)

・規則正しい時間に食事を摂る。(朝食を摂り、体を目覚めさせる) 

・日中は外に出て体を動かす。(散歩などすることで寝つきが良くなる)

・人に会って刺激を受ける。(家に閉じこもると不規則になりやすい)

・光を受け取りやすい場所にベッドを配置。(なるべく同じ時間に光を)

体内時計でいうと・・・

体力や知力を最大限に引き出す時間:(午前7時起床の場合)午後5時〜午後9

食べても太りにくい時間:午後2時〜同3時、太りやすい時間:午後10時〜深夜2

最近では、脳だけでなく各臓器や皮膚などにも体内時計があるといわれており、体内時計とアレルギー反応との関係やがん治療などにおいても研究が進んでいます。                                  (看護師  榎 早織)

◎デイケアだより・・・・笑う門には福来る

 初めて通所されたMさんは、送迎車から降りると、「ここはどこですか?家に帰りたいんですが。」と手提げカバンを持ち、デイの部屋を行ったりきたりしていました。

表情も険しく、なかなか自分の思い通りに行かないと怒り出し、話しかけても、なだめても、何をしても、「困りましたなあ、困りましたなあ、とにかく帰らせて下さい。」の一点張りでした。記憶がうすれているMさんにとって、見知らぬ場所(に見える)デイはとてつもなく不安で、一刻もはやく逃げ帰りたい場所でしかありませんでした。しかし通所というかたちで家族に休憩をとってもらわないと、みている家族のほうが疲れ果ててしまいます。

Mさんは毎回毎回同じことを言い続け、お昼ご飯も「お腹がすいていません。」と食事に手をつけることなく、1か月、2ヶ月と過ぎていきました。

 少しずつ変化が見えてきたのは、通所されて3ヶ月ぐらいたった頃でした。いつものように手をつなぎ、エレベーターに乗っていると、「ありがたいですなあ。」とニッコリ笑っておられます。ご自分の手提げカバンを持って、ゆっくりと席へ着かれて、落ち着いて座っていられるようになりました。それから少しずつ何かが変わっていきました。

 デイの活動にも参加できるようになり、音楽では「故郷」の歌が好きで、歌い始めると感極まって眼鏡を上げて涙を拭かれます。

Mさん「故郷はいいですなあ、私にも懐かしい故郷があります。」

職員「○○ですよね。」

Mさん「よくご存知で」

と会話されるようになりました。食事も少しずつですが召し上がるようになり、今ではいつもニッコリ笑って、周囲の人をなごませてくれています。Mさんから「笑う」ことの大切さを改めて感じさせられる機会をもらいました。(デイケア看護師・秋元明美)

◎新入職員自己紹介

 このたびデイケアやましたで介護職として働くようになりました松永由香里です。

 先輩方に現場でたくさん教えていただきながら、御利用者様に穏やかで楽しい時間を過ごしていただける援助をしたいと思っています。そして、毎日お目にかかる御利用者様とのふれあいを通して、自分自身を成長させていきたいです。

 一生懸命がんばります。よろしくお願いいたします。


 

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