山下循環器科内科ニュースNo.140  2012年7月1日発行 (隔月発行)

◎心臓の

 

◎新しい血栓予防薬について

 今までも何回もこのニュースに書いてきましたが、心房細動という不整脈があります。これは心臓の心房という部位が不規則に動くために、ここを流れる血液がよどみ、血栓ができやすくなります。できた血栓は動脈を通して脳や腎臓などの臓器に飛んで詰まり、塞栓症(血栓症の一種)という合併症を起こします。心不全があったり、年齢が高かったり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病があったり、過去に脳梗塞を起こしていたりすると、この塞栓症が起きやすくなります。

 血栓症の予防に用いられるのが抗凝固剤と呼ばれる薬です。今までは内服ではワーファリンという薬しかありませんでした。ワーファリンは安くて、高齢の方でも使いやすい薬ですが、一方で欠点も多かったのです。第1に人によって薬の効き方の個人差が大きいこと、第2に食べ物や他の薬の影響を受けやすいことが挙げられます。納豆や、クロレラ、青汁などはとくにワーファリンの効果を弱めます。また、薬では鎮痛剤などは薬の効果を増強します。このため、毎月のようにプロトロンビン時間を測って、薬の量を調整する必要がありました。薬が効きすぎれば出血が起こります。脳の中に出血することもあります。

何とかこういう煩わしさを避けられないのかということで造られたのが、新しい抗凝固剤です。初めにできたのが、ダビガトラン(商品名プラザキサ)という薬です。今年になってリバーロキサバン(商品名イグザレルト)という薬も出ました。これらの薬は毎回プロトロンビン時間を測定しなくてよい、効き方に個人差が少ない、脳内出血の合併症がワーファリンに比べると少ないなどの利点があります。腎臓機能に注意して使えば、比較的安全な薬です。ただ、高齢の方は腎臓機能が低下していることが多いので、使いづらい点があります。新しい薬ですので、思わぬ副作用も起こりえます。リバーロキサバンは新薬ですから、まだ1回の処方で2週間までしか出せません。この後も、いろいろな抗凝固薬が発売される予定ですが、副作用に注意しながら使っていきたいと思います。   (院長)

 

◎夏バテ(体がだるい・疲れやすい・食欲がない)を防ぎましょう

 梅雨が終わると暑い夏がやってきます。今年の夏は去年と同じくらいかそれより暑いといわれています。

 暑い夏は何故か食欲がなくなり、体が重くなってしまい、体調が今ひとつの時がありますが、これは夏バテかもしれません。

 夏バテの原因は1番に暑さではありますが、ただ暑いだけでは夏バテにはなりません。私たちの体は暑い時には汗をかいて体温を調節する機能を持っています。ところが、冷房の効いた室内では一定の快適な温度になっていて体温は保たれているので、皮膚表面にある汗腺は汗をかかなくてすみますから、汗腺は退化していきます。

 しかし、夏の間中ずっと冷房の中にいるわけではなく、部屋から出ることもあります。外へ出れば30℃を超える厳しい暑さですから、体温を上げないように調節しようと汗をかこうとするのですが、汗腺が退化しているので体温調節をすることができなくて、夏バテになってしまいます。また、暑いから体を冷やそうとして、冷たいジュースやかき氷など冷たいものを食べ過ぎることで、食欲不振に陥ります。

 熱帯夜は暑くて寝不足気味の生活になることもあります。冷房の効いた部屋に長くいたり、過度に冷たいものを食べたり、寝不足の生活を続けていると自律神経のバランスが悪くなり、より一層、体の具合が悪くなってしまいます。

 夏バテの症状はいろいろで人によって違いますが、真夏の体調不良が夏バテ以外の他の病気が隠れている可能性がありますので、過度に辛い症状のときは医療機関で医師の診断を受けることが肝要です。(看護師 赤峯 朗美)

 

◎大分市認知症家族介護支援事業開催のお知らせ

去年に引き続き、今年もデイサービス碧で、認知症家族介護支援事業を開催いたします。日々、認知症の高齢者を在宅で介護されているご家族の悩み等を話し合い、認知症に対する理解を深め正しい知識を身につけるのが目的です。
 開催日は、@7月14日(土)A7月28日(土)B9月8日(土)C9月22日(土)の4回で行います。各回の内容は、@「介護した家族の体験談」A医師による「認知症について」の講義、質疑応答 Bケアとリハビリの実際、介護方法について C竹中・判田地域包括センターによる「地域の社会資源を学ぶ」です。

各回とも13時から15時の予定です。受付は12時30分からです。参加は無料です。少しでも認知症に関心のある方は、どなたでも参加可能です。皆様でお茶を飲みながら、気軽に話ができる会にしようと思っておりますので、お気軽にご参加下さい。病院の待合室にも詳細のチラシを置いてあります。

なお、参加希望の方は病院の受付に直接言って頂くか097−597−2288(デイケアやました・デイサービス碧)までお手数ですが、事前のお申込みをお願い致します。(碧担当介護職員 宇都宮 隆宏)

 

◎九州電力の今夏の計画停電について

 7月から9月初めまで、計画停電があるかもしれないと報じられています。当院では太陽光発電により受付業務は停電中でもできますが、本当に停電が実施されたときは、その時間帯はなるべく避けて他の時間帯に来院されるようお願いいたします。

 

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