山下循環器科内科ニュースNo.143  2013年1月1日発行 (隔月発行)

◎心臓の

◎新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。皆様にとって、昨年はどのような年でしたでしょうか。日本では、ロンドンオリンピックでの日本選手の活躍、山中伸弥京大教授のノーベル医学生理学賞受賞、大分トリニータのJ1復帰、自民党の政権復帰などが大きな出来事でした。

 当院では、人事面では外来看護職員の大幅な交代、理学療法士をはじめとしたデイケアスタッフの新規入職があり、また、設備面では太陽光発電の開始、外壁の全面補修、心電計や胃ファイバースコープの更新などがありました。

今年は巳年です。蛇は医学の象徴ともいわれています。ギリシャ神話の医神アスクレピオスは蛇の巻きついた杖をもっており、この蛇の巻きついた杖は日本医師会の紋章に取り入れられています。

今年11月は当院の開院25周年にあたります。私ども職員一同も、今まで以上に医療・介護を通して皆様に貢献できるよう努力してまいりたいと思っております。最後になりましたが、新しい年が皆様にとって良い年でありますように、心より願っております。なにとぞご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。(院長)

◎高齢者のワクチン接種について

 インフルエンザの流行期を迎えました。高齢者がインフルエンザにかかると、細菌性肺炎を合併しやすく、死亡につながりやすいことが知られています。肺炎は我が国の死亡統計で第3位を占めていますが、90歳以上に限ると、悪性新生物(癌など)や心疾患を抜いて、第1位となっています。また、肺炎死亡者の95%以上は65歳以上で占められています。このことから、高齢者においては、肺炎をいかに予防するかが大切か、お分かりになると思います。

 肺炎を起こしやすい要因として、種々の基礎疾患(心疾患、呼吸器疾患、糖尿病、腎臓病、その他)の存在やインフルエンザの罹患などがあり、これら基礎疾患の治療やコントロールが重要です。また、虫歯や歯槽膿漏などの口腔疾患の治療も重要となります。また、同様に普段からの口腔ケアも大切です。高齢になるほど多い誤嚥性肺炎の発症と重症化を抑えることができるからです。

 高齢者肺炎の予防として、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを併用することで、肺炎による入院や死亡を有意に減少できることが、明らかになってきました。

 インフルエンザワクチンは65歳以上の方は助成がありますが、1月末までの接種期限があります。まだ大分市では流行していませんので、未接種の方は早めの接種をお勧めします。

 肺炎球菌ワクチンは、現在、大分市では全額自己負担ですが、将来的には助成も行われると思われます。また、以前は1回のみで、2回目の接種はできませんでしたが、200910月から5年以上の間隔をあければ再接種できるようになりました。また、インフルエンザワクチン接種後6日以上の間隔をあければ、肺炎球菌ワクチンが接種できます。反対に、肺炎球菌ワクチンを先にした場合は、27日以上間隔をあけてインフルエンザワクチンをすることになります。また、医師が必要と認めた場合には、両者の併用もできることになっています。

(院長。近着の日本内科学雑誌から引用)

◎ヒートショックについて

地球温暖化の影響で気温が高くなったといっても冬の寒さは体への大きなストレスとなります。寒い日はお風呂に入って暖まると気持ちがいいですね。入浴は血液の循環を良くして新陳代謝を改善させます。ストレス解消にもなるためお風呂が好きな方は多いと思います。しかし、冬場は入浴中の事故が多くなります。このことをヒートショックといいます。

「ヒートショックとは」

お風呂にはいるために暖房の利いた暖かい部屋から移動して寒い脱衣所で裸になると、急激な温度変化で反射的に血圧が上がります。さらにこの状態で入浴するとお湯で体が温められるために血管が拡張し急激に血圧が低下します。こうした急激な温度変化にさらされることで体が受ける影響をヒートショックといい、脳卒中や心筋梗塞を起こす原因になります。

「ヒートショックを防ぐためには」

#脱衣所や浴室を暖めておく

#浴槽はシャワーを使ってお湯をためる

#浴槽の蓋を入浴前に開けておく

#洗い場にお湯を流して暖める

同居家族がいる場合は一番風呂は避け家族が入って浴室が暖まった後に入浴するのもよいでしょう

湯温が42度以上にならないようにしましょう。お湯と脱衣所の温度変化が大きくなると血圧変動の大きくなるので危険です。

浴槽から出る時はゆっくり出ましょう。急に立ち上がると血管が拡張していることや、水圧が急になくなるために血圧が低下し、めまいや意識が低下する 原因になります。以上のようなことに気をつけて冬場の入浴中の事故をふせぎましょう。(看護師 橋本美鈴)

 

 

 

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