山下循環器科内科ニュースNo.144  2013年3月1日発行 (隔月発行)

◎心臓の

◎末梢動脈疾患(PAD)とは?

 PADとは、主に下肢動脈が狭くなったり、詰まったりする病気で、全身の動脈硬化症の一部分症です。この病気は、脳卒中や狭心症・心筋梗塞などの心臓病を高率に合併し、しかもこれらの病気が主な死因となる怖い病気です。日本人の高齢化、過食・運動不足などのライフスライルの欧米化などにより、増えつつあります。糖尿病、高血圧、高コレステロールなどの脂質異常症、喫煙等の危険因子を持つ人は、特に注意が必要でしょう。脳卒中や心筋梗塞などの既往がある人はさらに要注意です。

 症状は、初期には無症状です。次には、足の冷え、しびれ感が起こります。更に、歩くとふくらはぎが痛くなる、安静でも足が痛くなる、ついには足の壊死といって、組織が死ぬという最悪の状態となります。

 診断でもっとも大切なのは足の動脈の触診です。動脈がきれいに触れるかどうかが診断の第一歩となります。検査として勧められるのが、ABIといって、足関節上腕血圧比です。正常は1.0〜1.40.9以下は異常、その間は境界値です。65歳以上の方すべてに勧められます。65歳以下でも、糖尿病や高血圧、脂質異常のある人、喫煙者にはこの検査が勧められます。(当院でもできます。)この検査で異常が認められたら、血管エコー、CT,MRAなどで悪いところを見つけます。

 治療は、禁煙と運動などの生活習慣の改善、抗血小板剤や血圧、糖尿病、脂質治療薬の使用がまず勧められます。内科的治療で改善がなければ、次にカテーテルによる血管内治療や外科手術となります。

◎大動脈瘤に対するステントグラフト治療

 大動脈瘤とは、主に動脈硬化などで動脈の壁が膨らんでしまう病気です。胸部や腹部の大動脈にできます。大動脈瘤はいったんできると、自然治癒することはなく、だんだん大きくなり、最終的には破裂して、急死の原因になります。末梢の場合と同様で、高血圧、糖尿病、脂質異常(高コレステロールなど)や喫煙が危険因子となり、動脈硬化が進展してできます。腹部では、最大短径が男性5.5cm、女性5cm、胸部では5.5〜6cmが治療の適応となります。内科的には、高血圧の治療や禁煙が大切ですが、内科的治療のみでは、大動脈瘤の拡大進展は止められません。

 治療法としては、今までは、手術しかありませんでしたが、最近はステントグラフトといって、網目状の金属がついた人工血管をカテーテルで入れることによる治療が可能となりました。

 ステントグラフトによる血管内治療は、胸や腹を切り開くことなく、カテーテル操作で治療できるために、高齢者や心臓疾患、肺疾患などで今まで手術が難しかった人でも、比較的安全に治療できます。(以上、院長)

                               

◎花粉症

今年も花粉症の時期を迎えました。

花粉症の方にはとてもうっとおしくて、辛い時期ですが・・・

花粉症とは植物の花粉が原因となって起こるアレルギー性の病気で、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが3大症状として知られています。しかし人によってはこれに伴って目の症状や喉の症状、全身倦怠感などをはじめ様々な症状がみられることもあります。

 201210月にウェザーニュースが発表した予想では、今年は昨年より全国的には1.7倍と多いと予想されていますが、九州では例年の90%前後で、やや少ないようです。

 花粉症の方の生活上の注意としては、外出時のマスク・眼鏡、帰宅してからは服をよくはらう、うがい、洗顔をする、過度の飲酒を避ける、規則正しい生活をするなどが大切です。空気清浄機も役立つでしょう。

花粉症の患者さんのシーズン中の症状をできるだけ軽くするために花粉が飛び始める前から治療を開始することを花粉症の「初期療法」といいます。

初期療法を開始するタイミングは例年症状が強く出る人では

「花粉飛散開始日の2週間くらい前から」が基本です。

この初期療法により、以下のようなメリットがあると考えられています。

@    症状の出始めが遅くなる

A    シーズン中の症状が軽くなる

B    飲み薬や点鼻薬を使う量や回数が減る・・・などです。

当院でも花粉症の内服薬、点鼻薬、点眼薬など処方できますので診察の際に先生にご相談されてください。

私ももう20年以上も花粉症と付き合っていますが、今ではこの時期になると少しでも症状が軽くなるように、年が明けたら薬を準備し早めに服用するようにしています。症状が軽くなるように感じます。

3人に1人が花粉症になると言われている今日、花粉症について再認識するため、今回書かせていただきました。(看護師 赤峯朗美)

 

 

 

 

 

 

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