山下循環器科内科ニュースNo.150 2014年3月1日発行 (隔月発行)

◎心

 

◎4月から診療報酬が変わります

 4月1日から診療報酬が改訂されます。2年ごとに改定されていますが、今回は消費税8%にアップするのに伴い、初診料や再診料が上がります。薬剤費や検査料は下がりますので、皆様の窓口での支払額はあまり変わらないと思われます。特徴的なのは、地域包括診療加算といって、認知症、高血圧、脂質異常症(高コレステロールなど)、糖尿病のうち二つ以上の疾患を持つ人が、主治医を決めて、夜間の対応など、きめ細かい医療サービスを受けることができるときの点数が決められたことです。私どものクリニックでは常勤医師が一人ですので、1か月に200円(1割負担の人で20円)の加算となります。消費増税で何かとご負担の多いところ恐縮ですが、ご理解のほどをお願いいたします。

◎3月から骨密度測定ができるようになりました

 今まで、骨密度の測定は、当院ではできませんでしたが、このたび、手のレントゲンを撮ることによって、骨密度を測定できるソフトを導入しましたので、可能となりました。特に、閉経後の女性の方にとって、骨粗しょう症はあなどれない病気ですので、どうぞご利用ください。

◎高齢者の誤嚥性肺炎予防のために

 肺炎は死因の第3位となっています。高齢者の肺炎は

誤嚥性のものが多く、この予防がたいせつです。

(1)食べる姿勢

誤嚥防止のために、@うなずき姿勢、A姿勢保持、

B足底接地の3つがだいじです。(図を参照してください。)この姿勢をとるために、体とテーブルの位置の調整、足台などを用いることが必要となります。また、食事においては、とろみをつける、一口の量を多すぎないようにする、喉頭の動きを見ながら食事介助をする、テレビを消すなどして気が散らないようにするなどの注意が必要です。

(2)食べる機能

食べる機能の評価として、30秒間に3回の空嚥下ができるかどうかが、簡単なスクリーニングとなります。食べる機能の改善には口腔リハビリが基本となります。嚥下体操は、@リラックスした座位にて深呼吸する。A左右に振り向く、首を前後左右に傾ける。B両手、両肩を上げ下げする、両肩を回す。C口を大きく開ける、しっかり閉じる、口すぼめ、口角を横に引く。D頬を膨らましたり、すぼめたりする。E舌を出したり、引いたり、舌で両側の口角をなめたり、鼻の下やあごの先に向けて動かしたりする。F発音練習を行うといった手順で行います。そのほか、凍らせたアイス綿棒での口腔ケアを兼ねたリハビリや、歯科医師や歯科衛生士による口腔衛生も重要です。

(日本内科学会雑誌から引用) (以上、院長)

◎禁煙外来受診されてみませんか?

<ニコチン依存症>タバコを吸うとニコチンが数秒で脳に達し、快感を生じさせる物質(ドパミン)を放出させます。ドパミンが放出されると喫煙者は快感を味わいます。同時にまたもう一度タバコを吸いたいという欲求が生じます。その結果、次の1本を吸って再び快感を得ても、さらに次の1本が欲しくなるという悪循環に陥ります。この状態がニコチン依存症(=喫煙の習慣)です。

<禁煙のメリット>長年吸ってきた肺は真っ黒だから、今さら禁煙しても無駄だなどと考えていませんか?そんなことはありません。禁煙を始めたら短時間のうちに効果を実感できる楽しい作業ともいえます。例えば、肺の機能は禁煙を始めたら2週間から3か月で回復がみられます。咳や息切れも1〜9か月で改善されます。また継続すると、様々な疾患のリスクが吸わない人に近づいていきます。他にも@血圧・脈拍が下がる、A血液中の一酸化炭素濃度が正常になる、B心機能・肺機能が改善する、C咳・息切れが改善する、D上昇している心臓の病気(冠動脈疾患)のリスクが半減する、E脳卒中のリスクが吸わない人と同じレベルになる、F肺がん死亡率が喫煙者の半分になる、口腔がん・咽頭がん・食道がん・膀胱がん・子宮がん・すい臓がんになるリスクが低下する、などのメリットがあります。

<健康保険等で受けられる禁煙治療>2006年より禁煙指導に健康保険が適用され、患者さんの負担も軽くなりました。保険で治療を受けるには、一定の要件があり、1回目の診察で医師が確認します。

禁煙治療のスケジュールでは、12週間にわたり、合計5回の診察が行われます。禁煙を継続するためのアドバイスや禁煙補助薬の処方を受けることができるため、禁煙は成功しやすくなります。

禁煙中にどうしても吸いたくなって、吸ってしまっても、私たちは「どうして吸ったのですか?」などと責めたりはしません。どうしてすってしまったのか聞いたうえで、吸わないためにどうしたらよいかを一緒に考え、アドバイスをさせていただきます。なぜなら、禁煙は人のためにするのではなく、自分自身のためにするものだからです。

禁煙したいと考えている方、気軽に声をかけてください。受診が禁煙の第1歩です。一緒に考えましょう。(看護師 赤峯朗美)



 
[TopPage] [Backnumber]