|
◎帯状疱疹後神経痛に朗報
帯状疱疹は水疱瘡(水痘)のウイルスが水疱瘡にかかった後、神経節という部位に潜んでいて、体力が弱ったときなどに発疹を伴った神経痛をもたらす病気です。発疹の出る前に痛みが先行することが多いようです。体表面のぴりぴりする痛みがあり、変だなーと思っていると、後に紅い発疹が帯状に出現してきます。通常は、体の左右どちらかの半身に限られます。体の免疫力がすごく低下してしまうと、両側に出ることも稀ですがあります。急性期の痛みは、抗ウイルス剤や鎮痛剤などで、ある程度軽くなります。軽くならないときは、局所麻酔剤で神経ブロックをすると、ほとんどなくなります。慢性期までに痛みが残ることもあり、今まではこれに対しては有効な薬はありませんでした。発疹は治っても、長い間神経痛で苦しまれる患者さんも多かったのです。今回、新しい神経痛治療剤(商品名リリカ)が発売されました。通常の鎮痛剤と違って神経節に働き、痛みの伝導をブロックします。効果も立証されており、帯状疱疹後神経痛で悩む方にとって、朗報といえるでしょう。
◎新しい糖尿病薬が続々登場
第124号で書きましたように、インスリン分泌を促進する消化管ホルモンであるインクレチン関連薬と呼ばれる一連の薬が、続々登場しています。
使いやすい経口薬としては、選択的DPP-4阻害薬が3種類発売されました。GLP-1受容体作用薬は注射薬で、1日1回しなくてはいけません。やや使いにくいのですが、作用は確実です。
選択的DPP-4阻害薬を数名の方に使っていますが、マイルドな血糖降下作用があります。今のところ重大な副作用はありません。今までの薬に取って代わる可能性もあります。今までの薬ではSU剤と呼ばれるものは、切れ味は良いのですが、長く使っているとすい臓が疲れてきて、薬が効かなくなってくる恐れがありました。また、αGIと呼ばれる糖吸収を抑える薬は、便秘や腹が張る副作用がありました。インクレチン関連薬は万能ではありませんが、以上の副作用がない点が使いやすいといえます。
また、ピオグリタゾンとメトホルミンというインスリン抵抗性改善薬同士の合剤や、今までの3倍量使えるメトホルミン製剤などが発売または発売予定です。今後の治療薬の発展に期待したいと思います。(以上 院長)
◎逆流性食道炎(胃食道逆流症)について
逆流性食道炎とは、胃酸が食道へ逆流し、その酸が原因で食道粘膜に炎症を起こしてしまう病気です。食生活の欧米化などが原因で、近年患者数が急増しており、日本人の5人に1人はかかっているといわれています。慢性化すれば、食道がんになる危険性もあると考えられています。
2008年には、皇后陛下もこの病気になったと報道されました。
また、アトムとお茶の水博士のテレビCMでも知られるようになってきました。
主な症状は、胸やけ・苦い水が上がる・ノドの違和感(イガイガ)・ゲップ・おなかの張り・胃が重苦しい・胸痛・ノドのつかえ・しつこい咳などです。
※主に問診や胃内視鏡検査の結果で診断します。
治療は、胃酸が食道へ逆流しないように胃酸を抑える薬などを数日間内服します。再発を繰り返すことが多い病気ですが、生活習慣の改善と適正な治療薬の服用で症状のコントロールが可能です。
日常生活で気をつけることは、腹圧を上げること(前屈みの姿勢・排便時の力み・ベルト等おなかの締め付け・重いものを持つ)を避ける、食べすぎない、食後すぐ横にならない、胃酸の分泌を活発にさせるものは食べない、ストレスを発散させる、禁煙などです。食道の筋肉を緩めるような薬(ある種の血圧降下剤など)でも起こることがありますので、胸やけなどがひどいときは医師と相談してください。
控えたほうがよい食べ物・・・ 頭に あのつく食べ物
あぶらっこいもの・あまいもの・あついもの・アルコール
胃に優しい食べ物・・・
牛乳・卵(胃粘膜の保護、胃酸の抑制)、豆腐(炎症の緩和)、
大根(消化の促進)、キャベツ(胃酸の抑制)、山芋(胃粘膜の強化)
※寝るときに胸やけが強い場合は、寝る前の食事は避け、夕食の量は少なめにして、上体を少し高くして寝ると効果的です。横向きに寝る場合は、右側を下にして寝ると良いです。
逆流性食道炎は、薬できちんと治療すれば治る病気です。上記の症状は、逆流性食道炎以外の疾患でもみられることがあるので、気になる症状がある場合は医師の診療を受けることが大切です。 (看護師 榎早織)
◎ 夏になりました
暑い夏がやってきました。食中毒の本番の時期です。食べ物の調理・保管にお気をつけください。手洗いもしっかりお願いします。また大分市では75歳未満の国民健康保険の方の特定健診を一般の医療機関でも8月から10月まで実施することになりました。当院でも受け付けておりますのでご利用ください。