山下循環器科内科ニュースNo.152 2014年7月1日発行 (隔月発行)

◎心 

◎新しい糖尿病の薬が発売されました

 1年前のこのニュースでも予告を書きましたが、糖尿病の新しい治療薬が5から発売されています。SGLT2阻害薬といいます。腎臓の尿細管にあるSGLT2という糖の再吸収を助ける蛋白を阻害して、血液中の糖を強制的に尿中へ排泄します。この結果、血糖値が下がり、体重が減少し、血圧も軽度低下します。今のところ良い適応の方は、肥満があり、今までの糖尿病薬を使っても血糖がなかなか下がらなかったタイプです。当院でも、患者さんの同意を得て、数名使用しています。一人の方は夕方どうしても血糖値が200mg/dlから下がらなかったのですが、この薬を使用することで、100mg/dl以下になりました。その方では副作用は今のところ出ておりませんが、報告では、発疹や尿路感染症などの副作用が出ています。新薬なので安全性を見るために、1年経つまでは2週間までの処方となります。

◎降圧剤のディオバンとブロプレスについて

 この2つの薬については、新聞等でたびたび取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思います。いずれもARBという種類の降圧剤ですが、他社の薬より脳卒中などの病気が起こりにくいなどといったデータを発表し、宣伝に使っていました。しかし、このデータはいずれも製薬会社が解析に関与していることが判明し、他社の薬に対する優位性に疑問が生じました。

皆様方で、この二つの薬を飲んでおられる方は不安になったと存じます。二つの薬とも、高血圧に対してはよく効くことがわかっており、心配ありません。

日本の製薬会社と大学病院のいびつな関係が表面化しましたが、会社のほうもさることながら、大学側も独力できちんとしたデータを出すべきだと感じたのは私だけではないと思います。もっとしっかりしてほしいものですね。

(以上 院長)


◎認知症の方にかかわってみて

こんにちは、ケアサポートやましたでケアマネージャーをしています仲野といいます。自宅で生活している介護が必要な方の支援をしています。今回は、認知症についての話をさせていただきたいと思います。

近頃、認知症の方が徘徊によって行方不明になっているというニュースを耳にして胸をいためた方も多いかと思います。昨年6月の厚生労働省の発表によると、65歳以上の認知症の方の数は、全国で約462万人、予備軍は約400万人いるといわれており、4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算になります。これらを聞いて、「自分もなるかもしれない。」「親がなるかもしれない。」「最近自分が(親が)忘れっぽくなっている」と漠然とした不安に駆られている人は多くいると思います。私もその一人です。自分の将来もそうですし、近頃、自分の親を見ていると不安に思うことがあります。

当事業所の利用者様の4人に1人が“日常生活に支障をきたすような程度の認知症”と診断されています。私はこの仕事についてすぐの頃、認知症の方やご家族とかかわる中で「なにか解決策はないかな」「認知症の方にどういう声かけをしたらいいのか」と日々悩みました。今も悩みながら対応しています。認知症の方もご家族もそれぞれに悩みや不安・いろいろな思いを抱えています。「今、どう対応したらよいか」ということだけではなく、「この先どうなっていくのか」「いつまで続くのか」と。認知症には種類もいくつかあり、症状や薬の効き方も様々です。その場で答えを探そうとすると立ちすくんでしまいます。数学の公式のように答えの出るものではないのかもしれません。

ただ時々、「これだな」と答えのようなものに出会うことがあります。利用者様のご自宅に訪問をして本人様やご家族と話をした時や、おおよそ半年に1回行う担当者会議の中でそのような場面に出会うこともあります(※担当者会議とはその方が利用している介護保険等のサービスに従事する職員が自宅に集まって話をする機会のことです)。「だんだんとわかってきました。こういうふうに言ったらいいみたい。」といった言葉をご家族からきくことがあります。「他の方もそうなんですね」とか「そういうものだと思ったら少し楽になりました」と話をしてくださるのを聞いて少しほっとすることもあります。また、本人様のデイサービスにいるよそ行きの顔と自宅にいるリラックスした表情の違いに気づくことがあります。私はこのような経験の中で、本人様やご家族の中にすでに大切なヒントや力が備わっているのだと感じています。だからこそ、一人で抱え込まずにだれかに話をすることが大事なのだと思います。本人様やご家族の中にあるものがつながって、一筋の光がさすこともあるでしょう。微力ですが今後もそういったお手伝いができたらいいなと考えています。

(介護支援専門員 仲野若菜)

 

◎認知症講演会のお知らせ

 712日(土曜日)午後1時から当院主催で、デイサービス碧(みどり)にて認知症の講演会を開催します。講師は大分大学医学部神経内科の木村成志講師です。演題は「最新の認知症と診断と治療」です。一般向けのお話をお願いしております。(終了しました。約60名の方にご参加いただきました。先生の講演もたいへんわかりやすく好評でした。来年もまた開催したいと考えております。)

                                                           


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